本 「大地」パール・バック今日は、思い出の一冊について。この本を最初に読んだのは、中学生の時だった。 変動する中国(時代背景は辛亥革命前後)で、 貧しい農民の王龍(ワン・ルン)の青年時代から死(第一部)、 王龍の三人の息子達のそれぞれの生き方(第二部)、 そして王龍の孫の生き方(第三部)を描いた、三部構成の物語。 時代の中で精一杯に生きる人間の姿に、中学生の私は魅了されたのだが、 なぜか一番面白かったのは第一部だった。 やがて私も成長し、二十歳前後の頃にもう一度読んだ時、 第三部にとても共感し、中学生の頃に読み流してしまったのが不思議だった。 結婚し、子育てをしながら仕事をしていた頃、 またふとこの本を手にとって読んだ時、 またまた引き込まれて3度目の読書。 驚いたことにこの時は、 第二部が身につまされるように面白かったのである。 同じ本を二度読むことは時々あるけれど、 三度読んで、それぞれの時期に感動する部分が違ったのは、 今のところこの本だけだった。 そして、三度目につくづく思ったものだ。 私の読書は、いかに自分にひきつけて読む方法なのかと。 自分のその時の気持ちとフィットする時にだけ、 私は「面白い」と思うのだろう。 もう一つ感心したのが、小説家のすごさである。 しかし、三度目にこの本を読んだ頃から、 私は小説をほとんど読まなくなった。 それ以降は、ノンフィクションやエッセイ、 そして必要に迫られる読書の方が多くなった。 そして今、私の読書ジャンルはには、ほとんど小説は入ってはいない。 時々読んだりもするのだが、昔のようにドキドキ・ワクワクしなくて、 あまり面白いと感じない。 私の感性が鈍くなってしまったのだろうか。 ・・もう一度「大地」を読んだら、今度はどのように感じるのだろう。 中学生の時購入したこの本は、ちょっと文字が小さくて読みづらくなった。 それでも、懐かしいこの本、老眼鏡をこの際購入して、読んでみようかな。 2005年01月06日 |